本学教育学部の本山貢教授(体育学博士)が介護予防プログラムとして和歌山県と共同開発して実践と普及を進めてきた高齢者向け筋肉トレーニング「わかやまシニアエクササイズ」を続けたグループが、しなかったグループに比べて、介護認定率が5分の1にとどまることが発表され、メディア等で紹介されました。
介護認定率推移調査として、エクササイズ教室体験者のうち65~100歳(※平均年齢72・3歳)の1821人について04~09年度の健康状態などを追跡調査しました。調査の結果、教室体験後も集団でエクササイズを続けている1067人の介護認定率が2・5%であるのに対し、運動を続けなかった422人は13・5%にのぼることが分かりました。(下記データを参照)
また、個人で運動を続けている332人は6・3%で、集団で実践している人よりも効果が低い結果となりました。本山教授の分析では「集団で行うほうが、他人とコミュニケーションをとることで、効率的にできるのでは」との見解です。
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わかやまシニアエクササイズの方法を
指導する本山教授(和歌山大で) |
介護予防として、和歌山県と和歌山大(和歌山市)が共同で開発した高齢者向け筋肉トレーニング「わかやまシニアエクササイズ」を続けたグループは、しなかったグループに比べて、介護認定率が5分の1にとどまることが、同大の本山貢教授(体育学)らの研究で分かった。
2008年度の県内の介護認定率は、全国でも3番目に高く、介護保険給付金は年間約672億円に上る。県長寿社会課高齢者生活支援室は、介護の必要なお年寄りを減らすために、これまで以上にトレーニングの普及に力を入れる。
同エクササイズは、ゆっくりと踏み台を上り下りするステップ運動や、イスを使って足を上げ下ろしする筋力トレーニングで構成。取り組みやすく、安価で安全で、県は04年から各地で教室を開くなどして普及活動を進め、これまでに1万人以上の高齢者が体験した。
研究グループは、自治体主催エクササイズ教室体験者のうち、65~100歳(平均年齢72・3歳)の1821人について04~09年度の健康状態などを追跡調査。その結果、教室体験後も集団でエクササイズを続けている1067人の介護認定率は2・5%にとどまるのに対し、運動を続けなかった422人は13・5%にのぼることが分かった。
また、個人で運動を続けている332人は6・3%で、集団で実践している人よりも効果が低い結果となった。本山教授は「集団で行うほうが、他人とコミュニケーションをとることで、効率的にできるのでは」と分析する。
約1年半、同エクササイズを続けているという和歌山市の主婦山本和子さん(73)は「これまでは足腰が痛くてマッサージによく通っていたが、行かずに済むようになりました。みんなに教えたい」と喜ぶ。
本山教授は「年齢や、若い時に運動をしていたかどうかを問わず、要介護となることを防ぐ効果が確認できた。今後、介護が必要になる前の定年退職直後の世代にも普及させたい」と話している。
(2010年12月14日 読売新聞) より